2009年02月19日

無題


その日、都内で開催された絵画展に、一枚のひまわりの絵が出展されていた。真っ青な空と一面の黄色、そして黒い鳥が小さく飛んでいる絵で、それなりの人々がその絵の前を通りすぎ、立ち止まりしていた。
さて、それはいつごろからだろう、一人の少女がその絵の前に立っていた。ぐん、と背を伸ばしまっすぐに絵を見ていた。白いワンピースを揺らしながらただ絵の前に立つその姿は、むしろそれこそが一枚の絵画になるのではないかと思われるほど、僕の目に焼きついた。
かなしいえですね、と少女は僕に告げた。閉館時間を知らせに行ったついでに、そのえがきにいりましたか、と尋ねた。かなしいえです、ともう一度呟いた彼女に、どうしてですかと尋ねるのは、不躾であり、なんとも無粋なことだった。真っ青な空と一面の黄色のひまわりは、どこにも悲しさなどたたえていないように思われた。

後に、あの絵の黒い鳥は、本当は戦闘機なのだとオーナーに聞いた。
あぁ、あの少女は、満開のひまわりに押しつぶされそうになっている、わずかな死を感じ取ったのだろうか。おびただしいまでの生気の塊と、それでもぬぐいきれない腐臭が描かれているあの絵を見て、確かに少女はかなしい、と呟いたのだ。

その日、都内で開催されていた絵画展は終わりを告げたが、あの日以来少女が来館することはなかった。

そうか、そうだなぁ、それはとても、かなしい、えだ。














夜中に書くと、こうゆうことになりますね。





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posted by さと。 at 01:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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