2008年05月31日

道行き

歩いて、歩いて、これ以上と無いくらいにあるいて、たどり着いた先にまた新たな道が広がっていたとして、そこからもう一歩歩き出せるのか、それとも立ち止まるのかは、個人の自由だろう。なにせ歩いている道は、じりじりと回りつづける球体の上に存在している。私が、君が、人々がその上で止まろうとも、球体はじりじりじりじり動きつづけている。
しかしなんら焦ることは無い。そこに新たな道があるのなら歩き出せばいい。立ち止まろうなど考えなくともよいのだ。押えきれない好奇心と前だけを見つめるまっすぐな瞳。その二つを曇らせるのはなんとも勿体無いものだ。
もしかしたら「たどり着く」場所というのは、ぐるッと一周してきたスタート地点かもしれない。それは歩いてきた距離に比例するように、概念だけの場所になり、私がそこにたどり着いたとしてもきっと、ゴールめいた顔はしてくれないのだろう。
新たな道だと思う場所は結局のところ、一度通ったことのある道だ。ただひたすらに前だけを見てきた私にとっては足元の道の色すら見ていなかったということだ。大きくて丸い球体の上を歩いているわけだから、最終的には元の位置にもどってくるのだろう。
人の(というよりは私の)運行というものはあっちこっち歩いて球体中に自分の足跡をつけようとする行為のことだ。満遍なく足跡をつけようとその場で足踏みしてみたり、少し面倒くさくなって大きく歩いてみたり。途方も無い地平線に時には恐怖しながら、それでも新しい道に向かってずんずん歩いてゆくのだ。
しかし悲しいかな。球体は大きくて足跡はまばらにしかつかないことに、私は後何年歩けば気づくのだろうか。
取りこぼしがある気がして、後ろを振り返り振り返り歩いている時間のなんと勿体無いことか! 前を向くのだ。どうせいつかスタートに戻ってくる。そのときに新たに歩き出し、埋め忘れていた(或いは故意に埋めなかった)場所を力強く踏みしめるのだ。












【散文詩的挑戦】
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2008年05月25日

ひたむきムーンシャイン


あのね、あたし知ってるの!
月は海に片思いをしてるのよ

海の上を行く船を
優しく優しく照らしているし
月の上を行く船に
想いを伝えてって叫んでいるの

月は自分をさらさらこぼし
永遠と背中合わせの
真っ暗な距離を必死に
埋めようとしてる

けなげよ けなげよ
真っ白な月
こぼれる砂を
そっと受け止めて 私
貴方に乾杯するわ!







【詩極テーマ掲示板に投稿。テーマは「砂で乾杯」でした】
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2008年05月20日

もう三ヶ月も前から
たんすの奥に
嘘 が隠れている

隠れていることが
存在意義である嘘が。
見つからないことで
存在してゆける嘘が。

こっそりこっそり
自己主張をはじめる
そのうち嘘は
完全にたんすから顔を出し
平気な顔をして
真実であろうとするのだろう
(嘘は嘘であることを放棄し昇華したのだ)






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2008年05月15日

りんね・2

こえをあげるわ
あなたがさびしくないように
わたしのこえの
さいごのいってきまで

ぜんぶもっていっていいわ
それであなたが
あなたにかえれるというなら
ぜんぶもっていっていいのよ

わたしはいつでも
うまれてくることができるのよ
だからえんりょはいらないのよ

ぜんぶつかって
わたしをつかって
あなたになって






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2008年05月04日

会議 ―我々は民意の代表である―

会議する白い外套の賢者達
その中から俄かに沸いて出た
一匹の真っ黒なカラス
やたら達観視する賢者たちを
片っ端からつつきまわす


『車道を割って生えてきた
雑草を踏みつけるニンゲンの生命力!』
『打ち捨てられたリヤカーに乗った
ちっぽけな正義の行方!』
『あぁ、あんなにも満ち溢れた愛が
いつかは枯渇するのだという事実!』


賢者の間を縫いながら
真っ黒な羽を躍らせ喋る

『セイギダ! アイダ!』

賢者達が一心不乱に会議する中
カラスは直も喋りつづける

『ニンゲントハ カクモ モロイモノナノダ!』

そのうち一人の賢者が
おしゃべりカラスを握りつぶした
権威を乱すものなりと
もっともらしい理由をつけて
賢者たちはまた
静かに話はじめた






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2008年04月30日

用法・容量をお守りください。

昨日刈り取った夢の一部を
サンドイッチにはさんで食べてみた
なんともいえない香りと
歯ごたえにうっかり
夢見ごこち

溶けそうに茹だる
夏の午後 岬のテラス
あいまいになった私が
上へ、上へと 駆け出してゆく

その先が
空だろうと
海だろうと
まして
生の終わりであろうと
私は臆することなく
駆け出してゆくのだ

それが
今朝食べた
夢の作用だと気づくのは
もう少し先の話






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2008年04月24日

輪廻


遠く
山が濡れる
朝に霞む村で
私は生まれた

大地の上に
堪え切れぬ光が降る
指の間から
溢れ返つた光は
私の胎へと溜まる

さうして
又、山は濡れ
朝に霞んだ村で
人が産み落とされるのだ





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2008年04月13日

ハッピーバースディ

ハッピーバースディ
プレゼントたくさん持ってきたよ
ケーキでしょ、マフラーでしょ、
自転車も買ったよおそろいだね。
ハッピーバースディ
さぁ、何から欲しい?

「来年の今日までの一年間
あなたの時間を私にください」

ハッピーバースディ
プレゼントたくさん持ってきたのに
ケーキも、マフラーも
自転車だって。
ハッピーバースディ

何一つ
君にはかなわない






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2008年04月12日

芽吹く鯨

どこまでも茶色い大地に
鯨が
芽吹いた

広大な大地を
二つに割らんばかりの
大きな鯨だ

すくすく育つ
双葉の上では
もう雫が遊んでいる

鯨が芽吹く
鯨が芽吹く
ざばざばと音を立てて

そしていずれ
大きくなった鯨は
この大地をえさにして
自分の分身を芽吹かせる

鯨が芽吹く
鯨が芽吹く
そして大地が鯨になる





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2008年04月11日

静物

ぱらぱらと
吐き出され
かぷかぷと
吸い込まれる

教室の一番後ろは
校舎の呼吸がよく見える

ぱらりと吐き出される数人の生徒
かぷりと飲み込まれる数人の教師
彼らは知らない
自分たちが校舎の呼吸を担っていること

静かなもんだ
校舎は咳き込まないし
くしゃみだってしない
ただただ生徒を吐き出して
ただただ教師を吸い込んで
まったり呼吸を繰り返す

生徒も教師も皆帰ってしまったら
やっと校舎は眠りにつくのだ
明日の朝、一番初めのにんげんが
来るまで校舎は
眠ったように死んでいるのだ





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2008年04月06日

うつくしいもの

美しいものをしっている
さかさまに伏せたコップの
少し分厚いガラスのむこう
それを並べた古びた棚

美しいものをしっている
どこまでも伸びる道に立つ
行き先表示の看板
それに刺さったくぎの頭

美しいものをしっている
冬眠をする虫の背中
寄生したきのこの胞子
それが落ちる緑色した植木鉢

美しいものをしっている
額のまんなかに目を持つ子猫
しゅっと通った背骨の三つ目
そこに居座る真っ赤なダニ蟲

美しいものをしっている
うつくしいものを全て捕らえて
自分ひとりになってしまった
哀れな男がたたずむ世界






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2008年04月05日

アイウエオ

あれはきらい と
あなたに
あわせるひび

いつからか
いっしょににいるのが
いたたまれなくて

うそつきだから
うしろむいたまま
うたたねのふり

えばってなくて
えこひいきもなくて
えんりょもなかった

おとこと
おんなが
おなじへやで


あいを
いつまでも
うたいながら
えいえんを
おどっている





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2008年04月03日

薄っぺらな言葉

あいしてる と
叫ぶとしよう
まぁ、そうだ。
世界の
中心ででも

あいしている と
君が返すとしよう
一文字分
私の勝ちねと 笑うんだろう

君の体の内側に
幾重にも張り付いている
薄っぺらな
それ
ぱらぱら 僕の上に落ちてくる
ものめずらしい
それ

薄っぺらな それを
好き勝手に解釈して
君は僕を愛しているんだなと
勘違いしてしまうんだ

薄っぺらなそれを積み重ねて
勘違いの連続の愛を。
思うままに振りかざして
言葉という膜の中。

僕たちは表面上を愛し合う





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2008年04月02日

呼ぶのは

隣の部屋から唄が聞こえる
聞いたことのある唄だ
しまいこんだ感覚を
無理に引きずり出されるような
甘い甘い 甘い旋律

日常的に繰り返す
袋の口を結ぶ行為
小さく小さく引き絞られて
もう二度と
ひらくことはないと思っていた

あぁ、私を呼ぶのは誰だ
旋律に身を隠し
日常に身を浸し

あぁ、私を呼ぶのは誰だ
あぁ、私を呼ぶのは

呼ぶのは



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2008年03月14日

金魚の彼氏

目覚めると
涙が頬を伝っていた

心配したんだろう、君は
僕を揺り起こし
心配したんだよう、私は
僕に揺れながらそう言った

暖かなバターケイクを抱いて
下りない遮断機を眺める
柔らかなボストンバッグを枕に
解けない方程式を眺める
強かな矛盾と付き合いながら
揺ぎない存在を求める

登ってくる朝日を
指先でつぶし
伸びやかに水槽を泳ぐ
僕は金魚とキスをする



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2008年03月09日


僕のなかに
猫が生える
やたら春先になると
僕のなかに
猫が生える

暖かい縁側に座る
また一匹猫が生える
沈む夕日に手を振ってみる
もう一匹猫が生える

いつか僕の中が
猫でいっぱいになったとき
僕は誰かの中に生えるんだろう
春先の陽気に誘われて
頭を出したさきが
君の中であればいい

君は見届けてくれるだろうか
誰かの中に生えるだけになってしまう
そんな僕を

明日また
猫が生える
生えた猫が
僕に笑う



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2008年03月05日

はらり


ゆきが ふる
ぼくのなかに
ゆきが ふる

おとと
おもいでと
あとちょっとだけのこった
えぇとなんだっけ、
そうだ
ことば とかいうやつを
いっしょくたにのみこんで

ぼくのなかを
とおりすぎる

ゆき が ふる
はらり はらり
はら はら



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2008年03月03日

ゆらゆらぐも

山の上から
まっすぐにのびる雲
私知ってるよ

あれは、自由奔放な雲が
地球に捕らわれちゃった証拠なの
僕の元においでって
地球が呼んでいるんだよ

仕方がないから優しい雲は
ふんわりゆっくり
地球にキスをするんだよ

それがあんまり嬉しいから
地球はきゅって小さくなって
そのままふらふら震えるの

人間はそれを地震と呼ぶけど
それはほんとは
雲と地球のデェトなんだよ




【3.4訂正】

posted by さと。 at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月02日

よしよし


わたしのあたまを
よしよし
 ってなでてくれる
あなたのゆびさきが

なきそうに
あたたかい

きすはいらないの
ぎゅー、はしてほしいけど
でもやっぱり
よしよし
 ってなでてくれるのがいいの

あなたのゆびさきが
なによりも
あたたかい


posted by さと。 at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月29日

呪文

まみぃがくれた
まほうのじゅもん
いえすさまも
しらないじゅもん

アシタ テンキニ ナァレ

まみぃのくにの
まほうのじゅもん
おひさまにばいばいするときに
こういうんだって

アシタ テンキニ ナァレ

ふしぎなじゅもん
ぼく、すぐににっこりになるよ
おひさまもにっこりわらってくれるかな
まみぃもにっこりしてくれるかな

こんなにも
こんなにも
あざやかなゆうやけ
はやくあしたが きますように

posted by さと。 at 22:26| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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